日本とEUが海底ケーブルの切断対策などを含む防護技術で協力し、経済安保を強化する。両地域の重要インフラとなる海底通信ケーブルの脆弱性に対応する。地政学的リスク増大に伴い、通信インフラの安全保障が各国の優先課題となっている。
背景・経緯
海底ケーブルは国際間の通信データ流通の約99%を担う重要なデジタルインフラである。近年、ロシアによるウクライナ侵攻や東アジアの地政学的緊張の高まりを受け、こうしたインフラへの意図的な損傷や妨害のリスクが認識されるようになった。特に**Baltic Sea(バルト海)**では複数の海底ケーブル損傷事案が報告されており、国家安全保障上の脅威として位置付けられている。日本とEUは共通の経済安保課題として、海底インフラ防護体制の強化に向けた協力を加速させることを決定した。
具体的な内容
日本とEUが合意した技術協力の主な内容は以下の通り:
- 海底ケーブル切断対策の技術基準策定
- 損傷検知技術と復旧体制の改善
- 監視体制の強化と情報共有メカニズムの構築
- 通信事業者と政府機関の連携強化
両地域の通信インフラを担当するNTT、NEC、KDDIといった日本企業と、Telefónica、Vodafone、Deutsche TelekomなどのEU事業者が参加する見通しである。協力枠組みは2024年内に正式化される予定で、技術スタンダード策定に向けたワーキンググループが設置される。
事業環境への影響
本協力は複数の産業セクターに影響を与える:
通信インフラ関連企業:海底ケーブル敷設・保守事業を手がけるNTT、KDDI、NECなどは、新しい安全保障要件に対応した製品・サービス開発が求められる。一方で、強化されたセキュリティ基準を満たす企業は市場での競争優位性を獲得する可能性がある。
防衛関連産業:海底監視技術や異常検知システムの需要増加に伴い、防衛関連企業の関連事業拡大が見込まれる。
重電・エンジニアリング企業:海底ケーブル敷設・改修プロジェクトの増加により、大手ゼネコンや重電機器メーカーへの需要増加が予想される。
今後の注目点
- 技術仕様策定の進捗と、EUと他地域(ASEAN、インド太平洋地域など)への制度展開
- 民間企業による国際的な海底インフラセキュリティ投資の拡大ペース
- 日本における関連法整備(重要インフラ防護法改正など)の動き





